Ghost Thierf/52  2005/06/22

少年はその理由を察したのだろう、はっと気付いて、慌てて男を見つめ直した。
「あ、あのね、君といるのがつまらないとか、そういう事じゃないよ?」
男は何も言わなかった。
―――少年は物心つくずっと前から、孤児院で育ったのだと聞いた。
両親の顔も知らず、人には見えないものを視る力の所為で、誰からも受け入れられず生きてきたのだと。
そんな少年が初めて出会ったのが、あの青年なのだ。
考えてみれば、情が湧くのも無理はないだろう。
「……ハインリヒ…?」

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