Ghost Thierf/53  2005/06/23

やがて視線を逸らしてしまった相手の顔色を伺うように、少年が首を傾げた。
「ごめんね、本当にそうじゃないんだ、ただ…」
『ジョー』
「?」
男がふと、もう一度こちらを向いた。
透明なアイスブルーの瞳が、まるで宝石のように仄かな光を湛えている。
幽霊はその白い指先を、少年の頬へを伸ばした。
―――彼が触れる事の出来る人間は、この世でこの少年ただ一人だ。
既に命を失くして久しいこの身には、もう温度も感触も伝わっては来ない。
だが、確かにそこにある。

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