Ghost Thierf/54  2005/06/24

くすぐったそうに、だが怪訝な顔をして見上げてくる少年の唇に、そっと顔を寄せた。
「ん……」
夜気のような冷たさに、少年は身を震わせる。
「な…何…?」
『……昼間のあれは、思ったより質が悪かった』
美術館から奪ってきた緑色の宝石は、幽霊の"空腹"を満たすには少々粗悪であったようだ。
『足りない。……まだ』
「……っ」
その言葉の意図する所を悟り、少年の頬が赤く染まる。
だが、うつむいたまま、それでもやがて小さく首を縦に振った。
「―――…いいよ…」

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