Ghost Thierf/69  2005/07/10

何を思ったのかは解らない。
だが、顔を上げた表情は笑っていた。
「ありがとう、ジェット」
その、未だ幼さの抜けきらない嬉しそうな顔を見て、彼は何とも形容し難い気持ちが湧くのを感じた。
悲しい顔も困った顔も似合わない。
ずっとこんな風に自分を見てくれればいいのに。
(……)
男相手にこんな感情を抱くなんて、思っていなかったけれど。
(……危ないかもな、俺)
今度はこちらが視線を逸らす番だった。

***

―――ロンドンに夜が訪れる。
暗く、深く、妖しい青に染める。

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。