Ghost Thierf/74  2005/07/15

「何を見てるの?」
『……別に』
「行きたい所はある?」
『……いや』
「会いたい人はいる?」
『……』
「……僕と一緒に、来る?……君が欲しいものを、与えてあげられるかもしれない」


消えたくなかった。
何故だか解らないけれど、自分にとって何の意味も成さぬこの世界に、それでもまだ留まっていたかった。
少年が"取引"を持ちかけた時も、ただその欲望とも言うべき感覚が己を動かした。
だが、今は―――
「……やっぱり」
それ以上語ろうとしない幽霊に向かって、赤毛の青年が笑った。

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。