Ghost Thierf/77  2005/07/18

人の気配は無い。
―――少なくとも、目と耳で感じられる範囲では。
『……』
否、二人を導くかのように先を行く幽霊の鋭い視線でさえ、未だ何かを掴めてはいないようだ。
進んでは止まり、周囲を探る。
「―――…ここは、昔はお金持ちのお屋敷だったみたいだね」
用心深く聞き耳を立てながら、少年が言った。
「調べたのか」
「うん、少し。…勿論、住む人がいなくなってからもう何十年も経ってるけど…」
壁にかかった絵画や、残っている調度品は、過去の栄華を思わせる。

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