Ghost Thierf/82  2005/07/23

少年に目で合図する。
二人はほぼ同時に頷いて、彼の後を追った。

***

黒い霧は、彼を弄ぶかのように宙を舞っていた。
もう少しで追い着きそうになるのに、決して追い着く事は出来ない。
遠く近く、幻のように不確かなその姿は、少なからず彼の焦りを煽った。
「……!」
だが、やがて長い廊下にも終わりがくる。
分かれ道のない突き当たりで、彼は足を止めた。
目の前には観音開きの扉がある。
錠前こそしっかりとかかっているが、錆びて赤茶けたそれは決して整備されているとは言い難い。

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