@animalcube/No398  2005/07/30

透明な仕切りの向こうで、蝋人形めいた生気の無い顔を並べているのは―――人間だったのだ。
数十人か百人か、見ただけでは把握しきれない数の人間が、壁一面に飾りつけられている。
皆、死んでいるのか生きているのか、硝子のケースに閉じ込められたままぴくりとも動かない。
だがそのどれもが、ぞっとする程美しかったけれど。
「っ…!!」
余りの事に絶句して足を止めた彼に向かって、目の前の少女はまた笑った。
聞こえた声は、しかし少女のものではなかった。
『―――…もうバレちゃった』

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