Ghost Thierf/92  2005/08/08

だが、まさに間一髪の間を置いて、その爪は彼を傷つける事が出来なかった。
『……っ』
ぎりぎりと、まるで盾のように爪を止めているのは、少年の翳した銀色のロザリオだった。
「……ジョー…」
「早く逃げて!!……早く!!」
叫び声に促されて床を蹴る。
金属の擦れ合う音が、広間に響いた。
少女の爪が十字架を薙ぎ払ったのだ。
間合いを取ったまま、両者が睨み合う。
『……そっちの坊やは、只者じゃないみたいねぇ』
「ここから皆を解放するんだ。…手遅れにならないうちに」

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