Ghost Thierf/94  2005/08/10

少女は、上から見下ろされるのがいたく気に入らない様子だった。
力なく立ち上がると、憎悪と怨念のこもった表情で唇を噛む。
―――乗っ取った体は長くはもたない。ましてやこのまま痛めつけられ続ければ、器もろとも弱るだけだ。
"同族"の攻撃は、例え人間の体を被っていても避けられるものではない。
青ざめた唇から、小さな舌打ちが聞こえた。
「!」
途端、まるで操り人形の糸が切れたように、少女の体が床へ崩れ落ちる。
背中から立ち昇ったのはあの黒い霧―――実体を持たない、邪悪なもの。
『……許さないわ』

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