Ghost Thierf/95  2005/08/11

霧が発する低い声が、広間に響いた。
『アタシの邪魔をするモノは、全部消えてしまえばいいのよ!!』
空気が唸る。
轟音を立てて、鈍く光る刃に変わった黒い霧が幽霊に襲い掛かった。
「ハインリヒ!!」
少年の叫びと、空を裂く音が重なる。
黒い刃は、幽霊が我が身を庇うためにかざした左手を切り裂くかに見えた。
『……っ』
だが―――
その手もまた刃を備えたかのように、黒い刃と切り結ばれている。
鈍い光を湛えた掌が、霧の刃を振り払う。
『……!』

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