Ghost Thierf/97  2005/11/05

『余計な事を…ッ!!』
ざくり、と、鈍い音がした。
「!!」
男の肩に、深い裂け目が入った。
白い霧で出来たような体はそれでも血を流しはしなかったが、傷口は炎のような揺らぎを帯びる。
幽霊に命は無い。故に肉体的な死は訪れない。
だが、人間と同じように傷つく事はある。質の違うエネルギー同士が強くぶつかれば、水と炎のようにどちらかが消えてしまう事も有り得るのだ。
加えられた一撃は、まさにそれだった。
『……っ』
「ハインリヒ!!」
少年が半ば泣き出しそうな声で叫んだ。
『…行け…っ!!』

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