Ghost Thierf/98  2005/11/05

「だって…!!」
このまま見捨てて行ける訳がない。
華奢な膝は震えていた。
自分には何も出来ない。あの異質な影の正体が何にせよ、危険であるのは痛いほど解る。
生身の人間である少年には手出しができないものだ―――それ程、恐ろしいものだ。
どうすればいいのか解らなくて、少年の眦から遂に涙が溢れかけた。
だが。
「馬鹿!!」
その、行き場を失った腕をぐいと引き寄せる手。
「ジェット…っ」
「おっさんの言う事聞けよ!…お前の相棒なんだろうが!!」
青年は子供を叱り付けるように怒鳴って、出口を指差した。

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