Ghost Thierf/102  2005/11/07

「……何だ、これ……」
見上げた青年も、一瞬息を飲む。
―――肖像画は顔の部分を中心に、赤黒い染みで塗り潰されていた。
それはもう随分と前のものなのだろうが、微かに鉄錆びたような臭いもする。
描かれているのが男か女かも解らない程、大量の染みでめちゃくちゃに汚された絵。
「……まさか」
恐る恐る、青年は染みに触れてみた。
予想が当たっているならば、それは動物の―――恐らくは人間の、血液だろう。
「マジかよ……」
「ジェット」
少年は絵を見つめてごくりと喉を鳴らすと、何か決心したように彼に言った。

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