Ghost Thierf/104  2005/11/09

『残念だけど、アナタじゃアタシに勝てないわ。……今ならまだ許してあげてよ』
『……は』
彼は不敵に唇を歪ませると、お断りだと言うように視線を逸らした。
影はそれが、いたく気に入らない様子だった。
敵わないと解っているものに尚牙を向けるのは、醜いことだ。
強いものの前に膝を折ることこそ、弱者が美しく見える唯一の方法であるというのに。
気に入らない―――
『……そう』
影は赤い目で彼を見下ろした。
込み上げる苛立ちを隠すように、低い声で呟く。
『ちょっと面白いものを見せてあげましょうか?』

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