Ghost Thierf/106  2005/11/11

『アナタの姿を盗るなんて造作もないことよ。これで、アタシはアナタの力を得た』
『…ぐ…っ…!』
笑う唇の形さえ、寸分違わない。
一瞬の隙を突いて繰り出された左手の刃が、幽霊の脇腹を僅か裂いた。
『……ほら、もうおしまい』
腹部を押さえ、それでも間合いを取って上へと舞い上がる。
『化け物め…!』
『そうよ。……アタシは化け物よ。今は、アナタ達みたいな愚かで醜い人間なんかとは違うわ』
影は忌々しげに唇を噛んだ。
ぎりりと白い歯が軋む。

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