Ghost Thierf/109  2005/11/17

『…俺…はッ…』
―――ああそうだ、何が違うものか。
幽霊は心の中で、誰かがそう呟くのを聞いた。
あの少年の優しさに付け入って、見苦しくも取り憑いている。
死んだ理由も時間も、既に忘れ去るほどの長い時間が経ったというのに、未だ醜く現世に固執し続けている。
それを化け物と呼ばず何と呼ぶのか。
何よりも解っているのは自分ではないか。
目の前にいるのは、己の成れの果てだ。
いつかは自分も心を失い、こんな化け物に成り下がる。
同じことだ、全て―――
『……もうとっくに、人間なんかじゃないくせに』

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