Ghost Thierf/111  2005/11/19

「……いつまでもおっさんいたぶって喜んでんじゃねーぞ、この変態人真似妖怪」
真っ赤になった顔をそれでも笑みの形にして、赤毛の青年が呟く。
「お前、よっぽど元の自分の顔が嫌いだったらしいな」
その横で、少年が抱えているのは一枚の肖像画だ。
カンバス一面に赤黒く変色した染みの広がったそれは、床へ立てるとごとりと重たい音がした。
顔の塗り潰された絵を、少年は両手に持ち直し、そして高く掲げた。
「君は元は人間だった。だけど自らを殺して、他人を装う異形になってしまった……本当の姿を、この絵に封じ込めて」

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