Ghost Thierf/114  2005/11/22

耳をつんざくような音に、闇の中から長い悲鳴が重なった。
『うあ、ぁ、あぁあ、っああああぁ…ッ!!』
影は両手を宙に伸ばして、身も世もなく足掻いたが、その体は既に闇へ溶け始めていた。
『……どうして……どうしてよ……アタシは…ただ……!!』
それは悲痛な、引き裂かれるような断末魔だった。
『消えたく……な……ぃ…』
悔しさと怒りと悲しみに満ちた声は、終わりまで彼らの耳に届くことはなかった。
黒い霧は跡形もなく掻き消え、とろりと重かった部屋の空気が、まるで長い呪縛が解けたように一瞬で澄み渡る。

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