Ghost Thierf/115  2005/11/24

後にはただ、冷たい夜気が漂うばかりだった。
「ハインリヒ!!」
はっと短い息をついて、少年は幽霊に駆け寄った。
傷ついた透明な体に縋り付く。
「良かった…」
緊張の糸が切れたのだろう。
紅い瞳から涙が流れ落ちて、冷たい床へ小さな染みを作る。
温度を感じないはずの胸元が熱くなったような気がして、幽霊は少年の髪にそっと指を絡ませた。
「……君に何かあったら、どうしようかと思ってた……」

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