Ghost Thierf/117  2005/11/27

青年はいまひとつ府に落ちぬ様子で頭を掻いたが、それでも一瞬で立ち直ったようだった。
「ま、いいや。……幽霊が幽霊にならなくて良かっただろ?」
そう言ってまた笑う。
―――彼は、少年がなぜこの青年を友人として選んだのか解ったような気がした。
自分とは対極にある、命そのものの輝きを宿した琥珀の瞳が、二人を見ている。
割れた窓硝子から、朝日が差し込み始めていた。


***


「……あ、あった」
机いっぱいに広げた新聞をルーペで追っていた少年が、小さく声を上げた。
「お、どれどれ」

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