Ghost Thierf/129  2005/12/27

不意に、目の前の景色が薄く霞んだ。
ひやりと冷たい、透き通った両腕が少年を抱きしめていた。
『……ありがと。それってとても素敵だわ』
「良かった」
腕の中は不思議に心地好かった。
―――やっぱり何処か彼に似ていると、少年は思った。
「……納得いかねぇ」
後ろではあからさまに不機嫌そうにジェットが腕を組んでいる。
今の場面を見たその瞬間、眉間の皺は一際深くなったようだ。
「俺は嫌だ」
「ジェット」
子供のようにむくれた顔を見て、影は小さく笑った。

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