闇の中/2  2006/01/05

少し苛ついたように玉座の肘を叩く音が聞こえた。
「…っ…お…お許しを……閣下……」
青年は神に祈るかのように、床へ跪いた。
「私は…私の全てを尽くしました。……どうか、貴方と組織の名を汚すつもりが無かったことだけは、それだけは…!!」
悲痛な哀願が、広間へ響き渡る。
玉座の上の人物は、無表情に青年を見つめていた。
―――漆黒の髑髏を模ったその顔が、仮面であるのか、それとも男の素顔であるのか知るものはいない。―――少なくとも、今この部屋には。

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