闇の中/3  2006/01/05

およそ感情というものを読み取れぬ顔は、殺戮を唯一の目的と生業とするこの組織の中においても、畏怖の対象以外のなにものでもなかった。
死の商人、黒い幽霊団。
兵器という兵器を有し、世という世に争いの種を撒く巨大なこの集団の、頂点に立つ者の顔である。
「どうか……どうか、今一度の機会を……!!」
青年の、使い古されたその言葉に、男は暫く返事をしなかった。
だが、やがて、ゆっくりと呟いた。
「―――……まぁ、良い」
「は……」
何を言われたのかと、青年が目を見張る。

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