闇の中/4  2006/01/07

「私は今、少々機嫌が良くてな。……もう行け。……それとも、文字通り首を切られたいか」
男はそれだけ言い放つと、もうその事には興味なさげに足を組み替えた。
青年が慌てて深く頭を下げ、早足で出て行ってしまうと、広間にまた静寂が戻ってくる。
その静けさを破って、声をかけたのは隅に控えていた別の部下だった。
「……宜しいのですか、スカール閣下」
失敗と裏切りは死をもって償わせるのが、この闇の組織の掟だ。
例え逃げても、何処までも追いかける。
そうだ、何処までも―――

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。