闇の中/5  2006/01/07

増してやあの若い幹部は、前にも一度、事をしくじっていた。
「あまりお情けをかけては、貴方様の御威厳にも……」
「良いと言っている」
「ですが閣下……それでなくても、少々手間を取り過ぎではありませんか。……あの」
もう随分年老いた部下は、思慮深げに眉をひそめた。
「―――……裏切り者の試験体どもに関しては」
研究施設を破壊、脱走した九体のサイボーグ。
その捜索と殲滅を命ぜられたのは、今やあの青年幹部だけではない。
そしてその中の誰ひとりとして、成功を収めて帰って来た者はいないのだ。

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