闇の中/9  2006/01/09

老幹部は青ざめた顔のまま、一度だけゆっくりと頭を垂れ、逃げるように広間を後にした。
「……」
人の気配が消えた広間に、また暫くの静寂が戻ってくる。
男はもう一度玉座に腰を下ろした。
肘掛に手をやり、何度か指先を動かせば、無機質な電子音が響く。
壁全体が不意に白く光ったかと思うと、鮮やかな映像たちが現れて彼を囲んだ。
あの青年幹部が、命からがら持ち帰ってきた記録である。
―――傷つき、倒れ、それでも尚"敵"に立ち向かおうとするものたち。

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