北風と太陽/4  2006/01/20

太陽の住まいとはいえ、ここは言わば出張所のようなものだ。
風と同じようにひとつの地域だけを見守る、神が遣わした光と熱の管理者のひとりがここにいる。
太陽は風と違って気まぐれではない。ここでずっと地上を見守るのが仕事なのだ。
どこにいるかすぐわかるこの友人は、風のいつもの話相手だった。
「……騒々しい」
やがてオーロラのカーテンの向こうから、太陽は眉をしかめて顔を出した。
鈍く光る銀の髪をした男は、青空の瞳で青年を見上げる。
「よっ」
「何だ、お前か」
眉間の皺が消えて、呆れたような顔になる。

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