北風と太陽/5  2006/01/21

不機嫌そうな顔をするのはいつもの事だ。だが風は、己とはまるで正反対の、真面目で杓子定規なこの性格が好きでもあった。
そういうものをからかうより面白いことはないからだ。
ふっと短い溜息をついた相手に、風はにっと笑いかけた。
「暇?」
「……」
第一声がそれか、と、太陽は益々呆れた顔をした。
勿論、暇なわけがない。
気まぐれな風と違って、太陽は常に下界を見下ろしていなければならないのだ。
彼が担当しているのはこの国だけだが、それでも仕事を怠ることは理性に反した。

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