北風と太陽/6  2006/01/21

しかも相手のこの顔、単に会話を楽しみに来たわけではなさそうだ。
「何を企んでるか知らんが、遊びには付き合わないぞ」
「まぁそう言うなって」
風は悪びれもせずに太陽の隣に降りると、ふっと息を吹いて足元の雲を晴らした。
そうして遥か下界を指差す。
そこには先刻の少年が、未だ一人で彷徨っていた。
相当長い道のりを進んで来たのか、馬が疲れて止まってしまったようだ。
「おお、いたいた」
「……旅人?」
「ちょっと可愛いの見つけたんだ」
太陽は眼下の草原を覗き込んだ。

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