北風と太陽/7  2006/01/22

確かに奇麗な顔と出で立ちをしている。あんなあてどもない道を、供も連れずに歩いているのが不思議なくらいだ。
陽光に浮かぶ白い頬は些か疲れているように見えはしたが、滅多になく美しい少年だと太陽は思った。
だが、あの面差しは何処かで見たような―――
「あの人間がどうした」
記憶の何処かに引っ掛かったその事はひとまず置いて、彼は顔を上げた。
「何、賭けに乗らねーかと思ってさ」
風は悪戯っぽく片眉を上げる。
「賭けだと?」
「そ。簡単なこった。…あのご大層な上着を脱がした方が勝ち」

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