北風と太陽/9  2006/01/23

太陽はやれやれと小さく溜息をついた。
風は恐らくこの事を見越してきたに違いない。あの少年を見れば、太陽が必ずうんと言うだろうと初めから予測していたのだ。
若い悪友の策略にまんまと嵌ってしまったようで腑に落ちないが、こうなれば今更断ることも出来ないだろう。
「んじゃ、言い出しっぺの俺が先。どっちが勝っても恨みっこなし!」
そう言うが早いか、風の青年は地上へ向かって全速力で駆けていった。

ピュウ…

やがて鋭い疾風が、少年に襲い掛かる。
「わ…っ!?」

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。