北風と太陽/12  2006/01/25

風が少しむっとした様子で言い返す。
「あんたが失敗したら、賭けは引き分けだ」
太陽はにこりともせずに頷いた。
あまり自分の力を見せ付けるのは好きではないが、遊びに付き合うと言ってしまった手前仕方あるまい。
黙ってその手を地上へかざすと、再び草原を歩き出した少年と馬をなぞった。
暖かな太陽の光が少年を照らす。
「…あれ…?」
先刻まであんなに風が荒れ狂っていたのに、と、少年は空を見上げた。
だが無論、太陽の姿も風の姿も人間である彼に見える筈はない。

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