北風と太陽/13  2006/01/26

少年は眩しそうに、すっかり晴れ渡った青い空を見上げた。
暖かい光が、白かった頬を薔薇色に染める。
「……っ」
だが、そんな風に喜んでいられたのは少しの間だけだった。
太陽の光はすぐに強さを増し、春の麗らかなそれから夏の刺すような暑さに変わる。
じりじりと肌を焼く光に少年はまた辟易する羽目になった。
「暑い……」
額から汗が吹き出す。
重い上着は熱気をはらんで、まるで両肩に圧し掛かるようだ。
はあっと苦しげな息を吐いて、少年は上着のボタンをひとつふたつと外していった。

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。