北風と太陽/15  2006/01/27

太陽はすっと少年の行く手を指差した。
丁度その頃、少年もその存在に気付いたようだ。
僅かな気力を振り絞って手綱を握ると、そこへ向かって急いだ。
「良かった…!」
それは大きな泉だった。
豊かな水を湛えた、川の流れが注ぎ込む青い湖面。
少年は嬉しそうにそれを見つめ、冷たい水を一口飲んだ。
それから―――あれだけ後生大事に着ていた上着を、遂に脱いだ。
そうしてその下の服にも手をかける。
初めに露わになったのは頼りなげな両肩、それから滑らかな背中、華奢な両腕。

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