北風と太陽/18  2006/01/28

何をするのかと叫んだようだが、男達は少年を一瞥すると、あの豪奢な上着と馬を持って逃げてしまった。
「待って…!!」
少年は半ば泣きそうな声で叫び、急いで岸へと上がって残った服を取った。
だが、既にその声は男達には届いていない。
彼らはあっという間に、森の中へと姿を消してしまった。
『盗賊か!?』
『……の、ようだな』
思わぬ出来事に二人は顔をしかめた。
少年はと言えば、途方に暮れて声も出ない様子だ。
残った服を纏ったものの、為す術もなく泉のほとりに立ち尽くしている。

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