北風と太陽/19  2006/01/29

男達が何処へ行ったかは解らない。追いかけようとしても、もう後姿さえ見えなかった。
『くっそ、あいつら!』
風は怒りを露わにしたが、太陽は少し冷静だった。
原因のひとつが自分にあるのだ。こちらまで我を失ってはいけない。
『追いかけてとっ捕まえてやる!!』
『行き先がわかるのか、お前』
『そんなもん、虱潰しに探したらいいんだよっ』
太陽はまた呆れた溜息をついた。
彼は風が無鉄砲で注意力散漫なのを良く知っている。例えこの速さで探した所で、きっと簡単には見つからない。

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