北風と太陽/20  2006/01/29

それというのも、あの少年の服を奪った男達が、どうも単なる物盗りのたぐいではないような気がしたからだ。
あの上着は確かに質の良いものだが、他の衣服とて充分に上等ではある。売って金にならない事はあるまい。
それならば何故、他は置いて行ったのか。
せめてもの情けか。否、そうではなかろう。
太陽の記憶が正しければ―――
この賭け、少しばかり高くつくかもしれない。
とにかくこのままにはしておけない。
『まぁ、少し待て。多分すぐにわかる』
『何?』
『地上の事は、地上のものに訊くのが一番だ』

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