北風と太陽/21  2006/01/30

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太陽と風は地上へ降りていくと、泉の傍に立った。
少年や他の人間に怪しまれぬよう、二人とも人間に姿を変えている。
風は軽装に細身の剣を携えた若い騎士、太陽は貴族に仕える勤勉そうな召使といった風情だ。
だが、少年はいつの間にかそこを離れてしまっていた。きっと自分であの盗賊たちを探しに行ったのだろう。
無茶なことだ。
泉の向こうの深い森は、昼なお暗い闇の森。
たったひとりの少年が自由に動き回れる筈もない。
「どうするんだよ」

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