北風と太陽/22  2006/01/30

「盗賊どもの行方と、それからひとつ確かめたい事がある。……全て解れば、お前の足なら間に合うさ」
「何?」
太陽が珍しく自分を褒めたので、風は一瞬驚いて相手の横顔を見た。
だがそれには構わず、太陽はしんと静まり返った、さざ波ひとつ生じていない湖面を覗き込んだ。
青い瞳を、湖面は鏡のように映し出す。
「ピュンマ!」
太陽が湖面に向かって呼ぶと、そこへ細かな水泡が生じた。
かと思うと、湖面はにわかに白く泡立ち、何かが湧き出すように音を立てて乱れる。

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