北風と太陽/25  2006/02/01

「先に亡くなった王妃との間に子供はいなかったから、今は大臣が仮の王を務めてる。だけどそのうち本当の王になるだろうね」
「そのうち、とは」
「明日が戴冠式の日だからさ。このまま正当な王位継承者が現れなければ―――……え?」
その時、泉の精の明晰な頭脳が、太陽の話の意図を掴んだようだった。
彼はふと細い顎に手をやると、はっとしたように呟いた。
「……そうか……あの子は」
泉の精の膨大な知識の中にも、太陽と同じ、ひとつの思惑が在るのが見つかったのだ。
太陽が満足げに頷いた。

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