北風と太陽/26  2006/02/02

「やっぱりな。……ありがとう、後はこっちで片付ける。ついでにもうひとつ訊いてもいいか」
「あ、うん」
「居場所は解るか。あの少年と、盗人どもの行き先だ」
だが、泉の精はそれには首を横に振った。
「ううん。……残念だけど、もうどちらも森の中へ入ってしまったようだよ。あの森の中は、僕の管轄じゃないんだ。ごめん」
「いや、いい。それなら森に直接訊こう」
太陽はふっと溜息をつくと、もう一度泉の精に礼を言った。
人魚の青年はどういたしましてと微笑むと、銀の鱗を翻して、深く青い水の中へと帰っていった。

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