北風と太陽/28  2006/02/03

「だって……って事は、あいつはつまり……王子様かよ!!」
太陽はゆっくりと頷いた。

事の次第はこうだ。
つい先日逝去した小国の王と王妃の間に、子供はいなかった。
だが、王がまだ今の座につく前の事だ。ひとりの娘と恋に落ち、子を成した。
ところが、臣下たちの一部が二人の仲を許さなかった。
貧乏貴族の出だった娘は、身分が釣り合わぬという理由だけで、子供が生まれる前に家族もろとも国を追い出される。
やがて月が満ち、遠く離れた国で子供を産み落とした娘は、物心つくかつかないかの幼い息子を孤児院へと預けた。

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。