北風と太陽/34  2006/02/07

と、大きな樹の根元からふわりと鬼火のような青い光が立ち昇った。
光はゆらりと揺らめくと、見る間に美しい少女の姿になる。
深緑の瞳をした少女は、金色の髪を揺らして二人に笑いかけた。
艶かしい肢体は木の葉の服に包まれてはいたが、並の男なら目を奪われて言葉も出ないに違いない。
「まぁどうしたの?お揃いで」
彼女は、森に棲む妖精のひとりだ。
気まぐれで、風に負けず劣らず悪戯好きではあったが、この森の中で彼女の知らぬことは何もなかった。
「教えて欲しい事がある」
「私に?」

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