北風と太陽/39  2006/02/12

「そこはそれ、俺達のような庶民には解らんのさ。血筋の力というのはな」
「違いない。報酬さえ頂けば、もう二度と関わらんだろうよ。あの哀れな王子様にも」
男達の下卑た笑い声は、今度はやけに風の耳に響いた。
上着を抱えた先頭の男が、ふと呟く。
「全く、可哀相な王子様だ。……いっそ生まれて来なければ、争いごとにも巻き込まれずに済んだのに」

ビュウ…!

「うわっ!」
轟音と共に、突然の強風が男達を襲ったのはその時だった。
「な、何だ!?」
帽子を吹き飛ばされたひとりが、思わず空を見上げる。

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