北風と太陽/42  2006/02/15

―――と、見知らぬ若者の手に抱かれている上着を見て、男達が声を上げた。
「貴様っ、それを返せ!!」
「嫌だね。……そいつはこっちの台詞だ」
「何を……ひっ」
男達が掴み掛かるより先に、若者の腰に佩かれていた細身の剣がその鼻先をかすめた。
「もう王子サマに関わるな。次はその汚ぇ手を切り落としてやる」
その言葉を聞いて、相手は若者があの幼い王子の味方であり、全てを知っているとやっと理解したようだ。
「……大臣閣下に逆らう気かっ」

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