北風と太陽/49  2006/02/23

涙に潤んだ紅の瞳が、とても真摯で優しいのを見ると、小さく微笑む。
「余計なお世話かもしれねぇけどな。……俺は、お前が王様になればいいと思うぜ」
「!……僕は」
「お前の親父さんとお袋さんの国だ。―――…護ってやれよ」
少年はふと顔を上げて、青年を見た。
と、いつの間にかその後ろに、もう一人誰かが立っている。
銀の髪に青い目をしたその男は、少年を見ると目だけで優しく微笑んだ。
初めて見た筈なのに、少年はその青い色にも何故か覚えがあるような気がした。

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