北風と太陽/50  2006/02/23

男は赤毛の青年とも視線を交わすと、小さく言った。
「もういいだろう、帰るぞ」
「……あぁ」
青年は立ち上がって、少年に背を向けた。
「待っ…」
後を追おうと、少年は立ち上がった。
貴方達は誰なのかと、問うつもりで。
その時ふと、青年が肩越しに振り向いた。
名残惜しそうな、けれど嬉しそうな顔をして、小さく笑った。
「いい国を作れよ。……助けが必要な時は、いつも傍にいるから」

ビュウ…

一陣の風が空気を吹き上げた。
「!」

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