北風と太陽/51  2006/02/24

思わず瞬きをすると、次に目を開けた時にはもう、赤毛の青年も銀髪の男も消えていた。
「……風……?」
少年は雲ひとつない空を見上げて、小さく呟いた。
あの青年の瞳の色に似た、優しい夕焼けが辺りを包んでいた。

***

―――小さな国は、いつになく活気付いていた。
今日は収穫祭の日だ。
豊かな緑と、泉から流れ込む清らかな川。
それに、優しい太陽の光と爽やかな風に恵まれたこの国には、今年も沢山の実りがもたらされた。

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