北風と太陽/52  2006/03/03

若き名君は、そんな喜びに溢れた城下の様子をバルコニーから眺めていた。
今日はいい天気だ。

空を見上げれば、そよ風が頬をくすぐる。
「やぁ」
王は微笑み、その風に挨拶をした。
「綺麗な空だね。太陽は元気?」
「あーぁ。元気すぎて鬱陶しいくらいだぜ」
いつの間にか、バルコニーの手すりへ青年が座っている。
長い赤毛を風になびかせた、琥珀色の瞳の―――
「……ありがとう」
「ん?」
「君達のお陰だよ」
青年は笑った。
「何を今更。毎年の事だろ」

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